2009年01月02日

本「ザ・チョイス」 エリヤフ・ゴールドラット



「頭がいい」というのはこういう人のことを……
と、最近頭のいい人の本ばっかり読んでます。
ラッセル先生に引き続き
「ほら、簡単でしょ?」
という感じでゴリゴリと話が進められていき、
所々で実例レポートが挟まれては頷かされ、
また先生のペースに巻き込まれていく……
まるで実際にこれ系のセミナーへ行ったかのようです。
私会社員時代に企画屋だったものですから
こういう系のセミナーにも行かせてもらった、
というか行かさせられた、というか、
で、懐かしい感じもしました。
ああいうのって、マジピンチでもない限り、
(そしてマジピンチの時は大抵組織が麻痺してるので
 解決しようという一歩すら働かないことが多い)
企業の方としても本気で勉強しようというわけでもなく、
いわばアリバイ作りの面も大きいのですが、
しかしことあるごとに社内に
そういうセミナー受けたことある人間を揃えておくと、
自前で
「ああそういえばこういう時はこうすればよかったような……」
という提案も出てきたりするものです。
それが大事。
大企業が、業績が悪くても粘るのは
各現場にそういう部隊長みたいなのが居て、粘るからですな。
特に日本の組織は伝統的に
下士官・下級将校クラスを現場で鍛えて育てるのが上手く
だから戦闘はいいのよ戦闘は。
戦術>戦略となるに従ってどんどんダメになっていき、
つまり昨今の学力低下でみんな真っ青になってるのは
ただでさえ肝心要の戦略がヘボいのに
(「無戦略こそが最高の戦略である」
 という伝統があるという説もなくはない)
得意の戦闘まであかんようになったら
ホンマにどうしようもないやんか、
という点です。
僕個人的にはやっぱりどう考えても日本人に向いてるのは
白刃突撃なので、
無敵戦闘員つまりサムライ&ニンジャを
ズラッと揃えて戦争は絶対にしない、
なぜなら勝てないから、
これに限ると思います。
それはいいのですが、
要するに外部のコンサルタントさんとかが来ていいのは、
中に居るといわゆる「メタ」な解決策なんかが
ぜんっぜん思い浮かばず、
それできわめて簡単な解決策を見逃したりしてることです。
この本でも例示されてるのですが
パン工場のね、売上げを飛躍的に伸ばしたいと。
散々細かいとこ弄って、昨今お決まりの
道路を倉庫に使う在庫減らしの頻繁なオペレーションとか
やり尽くして、
さらにもっと無いかもっと無いかとやって、
最後に出た結論なんだと思います?
「日に2回しか動かしてない配送トラック使って
 運送業始める」
はあ!?
って感じですが、まあ、しかし、
真理。
これパン屋の視点では絶対に出ません。
プライドあるからね、なんちゅーてもね。
カネ儲かりゃええってもんじゃないからね。
だいじなのはそのアイデアを採用するしないではなくて、
「こういう考え方もありますよ」
と頭ん中をシャッフルすることです。
人の悩みやとね、
人間簡単に言い切っちゃうよね(笑)
「別れちゃいなさいそんな男とは!」とかね。
でも、それが真理なんですよね。
みんな薄々はわかってるんですよ、
真理というのは極端に簡単なことだと。
要は誰かに、
あるいは何かに、
背中を押してもらいたいのです。
みのさんでもいいし細木さんでもいいしイワシの頭でもいいし、
この本でもいい。
だからどうしてもこれ系の人は
自らを大きく見せてカリスマ性を増し、
「押す力」を大きくしようとします。
そこが構造矛盾で、そうすればするほど、
いざ押された時の力は強くなるけど、
取っつきにくくなって、
押されたいなと思う人を減らしてしまう。
その点博士はまだまだ正直者。
ブラジルでセミナーぶつぞと下準備したら
ものすごい申し込みが殺到しそうで、
このままではコンサルタントの数が圧倒的に足りなくなると。
これは我が社のピンチだ、全社会議だ!
と世界中から人集めたら
実はそれほど申し込みなくって、トラタヌだったと。
「やっべーどーしよーみんな来てもらったのにー」
と自ら頭を抱えながら、
「いや待て真理は簡単なはずだー」
と思い直してなんか適当な議題をでっち上げる。
そんなような模様がちゃんと描かれてたりして、
まあ、ビジネスの真理というのは奥深く、
いつまで行っても尽きないものです。
そう博士が口を酸っぱくして言うように、
科学と、同じ。

父と娘の会話形式で書かれているので
ちょっと要点の読み取りがしにくいですが、
内容自体はよくわかるように噛み砕いて書かれています。
おもしろい本です。
読む時間もそんなに掛かりません。
posted by ながたさん at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) |