2009年01月09日

それはたぶん劇出身だからです。

コミケでの話ですが、ある方に
「どうしてああいう掛け合いが書けるのですか」
と問われ、咄嗟に気の利いた答えができず
(本質的には口ベタなんです……)
「『パタリロ!』とか好きだから」
とか意味わからん説明をしてしまいましたが、
その後つらつら考え直しますと
結局のところ収斂するのは、
僕が脚本出、
出っていうか今も基本が脚本ですが、
だからだと思います。

劇は、人間の「身体性」が大きく物を言います。
生身の人間が、刻々と進む現実の時間を使って、
現実のあの舞台という狭い空間で、
実物のお客さんを相手にして、
なにかを表現する。
文章は、高度に抽象化ができますので、
この「身体性」のクビキから
「逃れようと思えば」
かなりの部分で逃れることが可能です。
もっと簡単に言うと
好きなことを好きなだけ書ける。
もちろんそれが文章最大の武器であり、
ありきたりなたとえですが、
「ここに美女が居る」
と書いた時に読者がそれぞれの美女を想像して
楽しむことができる、
これが強みです。
しかし常に強みは弱みと表裏一体でして、
なんでも書けるからこそ、
要らないものや、書いてはいけないものまで、
あるいは書くといくら何でも不自然なものまで、
書いてしまう恐れがあります。
劇はその点遥かにシビアでして、
通し練習しますと
「あーここからここまでタルい」
というのが誰の目にも明らかになります。
それが計画されたタルさならいいのですが
(たとえばクライマックス前に一旦落ち着かせる、など)
どう考えてもイケてない場合、
いかにそこに脚本家(や演出家や監督)の
コダワリがあろうとも、
やっぱり切った方が良い。
逆もしかり、
いかにスピードあげていきたくても
「いやそこ書かんとわからん、わからん」
みたいなところはどうしても出てきて、
そこはなんとかうまいこと誤魔化しながら
書きたくもないことも書かねばなりません。
結局それが、お客さんの納得に繋がるはずですから。

俳句のクビキは五七五(と季語)ですが、
ではクビキを外せば豊かに多様性溢れる作品が
次々に生まれるのかと言えば、
決してそうでもない。
本来最も自由であるべきはずの詩が、
(おそらく)どこの文化圏でも音韻や形式を
大事にするのは、
なにかの入れ物、フレーム、クビキが無いと、
逆にモノというものはまとまりを欠く、
という長年の経験かもしれません。
それが、
僕の場合で言いますと、
あくまで人間が身体と実時間を使って動く
演劇的時空間が、
それです。

という感じで、それは、
多分にフィジカル(物理的)な、
そしてテクニカル(技術的)な部分だと思います。
モトクロス出はロードでもタイヤの使い方巧い、
とかそんな感じ。
心理的精神的脳的な面で、
「○○という作品(作家)のスタイルに影響を受けた」
というようなものは、
すくなくとも自覚的にはありません。
ただ、関西圏の子供でしたから、
落語や漫才、喜劇に触れる時間が長くて多いので、
それだ、という言い方はできます。
トーク主体のバラエティ番組と違い、
それらはちゃんと練習してちゃんと組み立てられた
「演劇」の一種です。
だから僕ダウンタウン好きですけど、
「ガキ」とか「HEY!HEY!HEY!」とかあんま興味無くて、
いつも「ごっつ」です。
もちろん優劣などなく、単に趣向の問題ですが。

逆にその枠から外れるような、
高度に抽象化・観念化されたキャラ・お話・テーマを
時空間まで変形させて
「これがセンスオブワンダーだ!」
とばかりに描くのはかなり苦手、
というかハッキリ言ってできません。
しかしそのへんが、
現在のコンテンツのメインストリームであったりなかったり(笑)
いつも「エアイン口溶けチョコレート」を見つめる
干し芋屋みたいな気持ちです。
でもまあ、
干し芋好きもずっと居たはるでしょうし、
私自身もマンゴーを干してみたり
ちょっとは努力して、
なんとかならんかなぁ、
と考えてます。

これ愚痴になっちゃいますけど、
僕けっこう一生懸命干し芋作ってるつもりなんですが、
かなり食えておらず(笑)
そこでね、それが僕の干し芋がマズイから、
だったら全然いいんです。
がんばりますけども、
もし
「いや干し芋では商売にならん。
 貴様もエアインチョコ工場で働け」
だったらイヤだなぁ、と。
それはちゃうやろう、と思います。
だからまあ、なんとなく干し芋屋でも食える方法をですね、
自分で考えて自分で実行するしかない、
のかなぁ、とか。

「偽日記」というコンテンツをお書きの
古谷利裕さんという画家の方が、
http://d.hatena.ne.jp/furuyatoshihiro/
「人間には『宇宙人好き』と『幽霊好き』の2種類が居る」
という仮説を立てておられますが、
その伝で行くと僕は極端に宇宙人好き。
幽霊なんの興味もない。
だって自分でどうにもならないファクターは、
どうにもなんないじゃないですか(笑)
もちろんお好きな方は、
「どうにもならないから面白いんじゃないか」
とおっしゃると思うんですけども。

散漫になっちゃいましたが、
そんな感じです。

posted by ながたさん at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記・コラム・つぶやき
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