2009年01月08日

大阪

「大阪の人そう言いながら大阪を出たがらないですよね」

とは僕のいつもの大阪自虐ネタを聞いて
生粋の東京人であるO君の言葉。
そうなんですよ。
嫌いだけど、出るかというと積極的に出たいとは思わない。
それはなぜかといえば、
「かくあるべし」がなんにもないところ
だからです。
だから逆に言うと、
基本、理念、規範、そういうものがないので、
住んでる者でも(いや住んでる者だからこそ)
「ダメだここは(ここにいる連中は)」
と思っちゃうんですな。
でも、自分もそのダメの一人なのです。
だからダメじゃダメな他の土地へ行くのは、めんどくさくて。

大阪はご存知の通り「人工商業都市」でして、
なんの物理的バックボーンもないのに政治的に
無理に成立させられて都合400年、
その形を人間とエネルギーだけで保ってきた都市です。
だから「笑い」と「メシ」なんですよ。
他なんもない。
最近そのパワーが減少気味、つまり金が無いので、
食いもんが段々ヤバイ。
海産物と野菜がかなり厳しくなってきてて、
モノも落ち気味ならなにより値段が高すぎる。
まそれはもうしょうがないのですが、
この都市にとってなによりだいじなのは
人間のエネルギーであり、
というかそれ一点であり、
それを生み出すのは上述の、
「こうせなあかん」がなんもない
という雰囲気、
「自由」とも「緩さ」ともちょっと違う、
なんというんでしょうね、
寛容?というと言葉がカッコ良すぎますが……
「なんでもええやん」
という感じ、です。
人が人と繋がって生きていかなければならない場所だったので、
お互いに最低限のルールだけ守れば、
あとは自由、という精神が育ったのではないでしょうか。
そこを繋ぐのが割と合理的な
「サービス精神」であり、
僕大阪を「人情」って表現されるとちょっと違う、と
いつも思います。
商人は、他人の誰もがお客予備軍なんです。
そういう扱い。

たとえば、
大阪の運転は荒いですが慣れると怖くはないですよ。
「入れろー!」とウインカーを出す。
要するにぶつけなきゃエエんやと。
よその土地運転してヤバイと思うのは
いきなり寄ってくるヤツいるでしょう。
あれは無いですよ。あくまで比較的に、ですけど。
怖いですよねそっちの方が。
大阪人は、
線引きの基準が低いというか、
「それ以下はさすがにマズイ」
というギリッギリいっぱいに引いてある。
ノーパンしゃぶしゃぶを開発して誰かに迷惑を掛けますか?
じゃいいじゃないですか。
カニの看板が動いて誰かに迷惑を掛けますか?
じゃいいじゃないですか。

大阪が今調子がイマイチなのは、
この「なんでもええやん」精神を忘れ気味なところにある、
んじゃないかなぁ、と思いますよ。
なんかもー全部プチ東京みたいなね、
設計するでしょ?
それがダメなんですって。
また神戸と京都という
「かくあるべし」が非常に強力でスマートな都市が
近くにあってねぇ。
片やオシャレ世界の窓口片や歴史と伝統。
それだけで人が寄ってくる。
そんなところを真似してね、
京都なんざ世界に冠たる1000年首都ですよ?
そんなとこ相手にして
「これがありますからウチは魅力的です」
なんて無理です。
逆になんもないのを売りにせねば。
意外に「なんもないけど街だから便利」というのは
住みよいものでしてね。
アムステルダムをご覧なさい。
あそこもなんもないけど、
「存在する」だけならパリよりもロンドンよりも
居心地がいい。
だから世界中のヒッピーがアシカの広場で寝転がったんです。
あれですよあれ。
ついこないだまで大阪市はゴミも無分別でして、
高性能な炉を建てて全て焼き払え
という合理精神に基づいて
住民も楽させてもらってたんですが、
いつのまにかあの無意味極まる分別を真似しだしましたな。
あれが良くないんですよあれが。
「ウチらもやっとかなカッコ悪いかなぁ……」
違う違う。
我が都市のゴミ処理システムは無分別で戦えんねやと。
そんな住民に負担強いるような
そんなヤスモンの行政やおまへんでと。
ゴミ捨てがめんどくさかったら大阪へ来なはれと。
そう行かな。

なんかね、ここ最近聞こえてくる話がね、
その、他人様の真似か、聞いたことある話か、
で、うんざりしてるんです。
大阪には大阪の魅力、先ほど言いましたように
「人として最低限のルールを守っていれば
 あとは裸で御堂筋走ってもOK」
というね、
「あなたはあなた、わたしはわたし」
「生活は爆発だ」
大阪のおばちゃん達の振り込め詐欺被害全国シェアはわずか1%、
この合理精神、
この独特の「生きやすさ」、
これを売りにする方が、
いいんじゃないかなぁ、と思います。
たぶん、どこの出身の人でも、
そういう都市、なんといいますか
いい意味でほったらかしてくれる街、
それを好む人は意外に多いと思います。
むしろそう、
生粋の京都人が
「なんかもう肩の辺り重くて……」と、
生粋の神戸人が
「毎日オシャレに気遣うのしんどい……」と、
そして生粋の奈良人が
「たまには鹿のエサやりをさぼりたい」と、
なんにもない、つまり、
なにもしなくていい、
大阪に2、3日滞在したくなると。
異常に人なつこいおばちゃんが一人でしゃべりまくるお店で、
粉とクズ野菜と肉気の切れ端を混ぜて
ド素人が焼いただけの料理とも言えない料理
通称お好み焼きを食べてですね、
「あぁこんでええねや……」
と精神の自由を取り戻してもらう。
TVではヴェテラン芸人さん達が
20年前と同じギャグを今日もやっている。
「あぁ、あれで大丈夫なんや……」
人間なんて、そんなもんだと思い出してもらう。
そんな街が、
いいんじゃないですかね。

不得意の整理は得意磨きの後でもいいと思う。
というかそうしないと、
「芽」すら摘んでしまう、と思います。
posted by ながたさん at 00:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 日記・コラム・つぶやき
この記事へのコメント
大阪自虐はテレビなどで言うとそのまま信じ込んでしまう全国の人が多いそうです。身内や知り合い、大阪や関西でなら冗談の類と通じるでしょうけど、日本全国、果ては海外では誤解される方が大きいでしょうね。

謙遜や照れ隠しから、もう大阪人=お笑いだと誤解して、お笑い芸人のように大阪自虐ネタを言って笑いを取ろうとする人を首都東京で見たことがあります。あそこまで行くと道化なんじゃ…せめて自虐ネタは同郷や地元のみに留めて欲しいところ…テレビで芸人さんが出ている状況では難しいかもしれませんが。
Posted by モモ at 2009年07月16日 10:40
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